2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原体媒介蚊が有するウイルスとの相互作用の分子基盤
Project/Area Number |
20688013
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
嘉糠 洋陸 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 教授 (50342770)
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Keywords | 蚊 / ウイルス / RNA干渉法 / 自然免疫 / 感染症 / 節足動物 |
Research Abstract |
西ナイル熱やデング熱、黄熱や日本脳炎等は、節足動物媒介ウイルスによる新興感染症または再興感染症であり、世界的に大きな脅威となっている。これらのウイルス性疾患の多くは、その病原体保有動物が家畜や野生動物であることから、節足動物によって橋渡しされる新しいカテゴリーの人獣共通感染症として注目されている。これらのウイルスの感染拡大の可能性は否定できず、それらに関わる基盤研究の重要性は年々増している。節足動物媒介性ウイルスは、宿主動物への感染経路として節足動物を利用する。そのため、節足動物媒介性ウイルス症の対策の一つとして、節足動物側からのコントロールが従来考えられている。しかしながら、このためには、節足動物体内におけるウイルスとの相互作用の知見が極めて重要である。そこで研究代表者は、節足動物とウイルスにおける相互作用の基礎生物学的な解明に重点を置いている。これらの研究から得られる知見をもとに、節足動物側からのウイルス媒介のコントロール法開発の研究基盤とする。 ヒトや家畜などの宿主において病原性を示すウイルスは、媒介節足動物の生存には影響を及ぼさない。その要因の一つとして、媒介節足動物はウイルスの増殖を抑制する機構を持っており、ウイルス感染の影響がより少ないと仮説を立てた。平成20年度の本研究では、媒介性節足動物であるネッタイシマカと非媒介性のショウジョウバエにおける抗ウイルス反応の存在に焦点を当て、ウイルスに抵抗しうる節足動物の応答を明らかにした。媒介性ウイルスのモデルとなるフロックハウスウイルス(FHV)を用いて、以下の計画をもとに研究を遂行した。研究成果の概略は次の通りである。(1)媒介性・非媒介性節足動物の抗ウイルス性状の比較解析を、ネッタイシマカとショウジョウバエを用いて実施した。(2)ショウジョウバエの分子遺伝学的手法を駆使し、節足動物の抗ウイルス反応関連遺伝子の同定に成功した。以上の成果により、節足動物における抗ウイルス反応の実態の一端が明らかとなった。
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