2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原体媒介蚊が有するウイルスとの相互作用の分子基盤
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20688013
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
嘉糠 洋陸 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 原虫病研究センター, 教授 (50342770)
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Keywords | 蚊 / ウイルス / RNA干渉 / 自然免疫 / 感染症 / 節足動物 |
Research Abstract |
西ナイル熱やデング熱、黄熱や日本脳炎等は、節足動物媒介ウイルスによる新興感染症または再興感染症であり、世界的に大きな脅威となっている。これらのウイルス性疾患の多くは、その病原体保有動物が家畜や野生動物であることから、節足動物によって橋渡しされる新しいカテゴリーの人獣共通感染症として注目されている。これらのウイルスの感染拡大の可能性は否定できず、それらに関わる基盤研究の重要性は年々増している。節足動物媒介性ウイルスは、宿主動物への感染経路として節足動物を利用する。そのため、節足動物媒介性ウイルス症の対策の一つとして、節足動物側からのコントロールが従来考えられている。しかしながら、このためには、節足動物体内におけるウイルスとの相互作用の知見が極めて重要である。そこで研究代表者は、節足動物とウイルスにおける相互作用の基礎生物学的な解明に重点を置いている。これらの研究から得られる知見をもとに、節足動物側からのウイルス媒介のコントロール法開発の研究基盤とする。 シュード型水泡性口炎ウイルスは、宿主細胞への侵入に必要なVSV-G遺伝子を欠損しているため、そのままでは宿主組織中において増殖ができない。そこで、蚊の一種であるハマダラカ(Anopheles stephensi)の唾液腺特異的遺伝子aappのプロモーターを用いて、VSV-G遺伝子を唾液腺のみに発現するトランスジェニック蚊(TG蚊)を作成した。このTG蚊では、シュード型水泡性口炎ウイルスが存在すると、唾液腺細胞でのみウイルスの増殖が期待される。そこで、シュード型ウイルスを蚊体腔内に微量注入したところ、野生型蚊ではウイルスが全く検出されないのに対し、TG蚊ではウイルス数の顕著な増加が観察された。すなわち、体内においてシュード型ウイルスを継続産生する蚊の作出に成功した。以上の成果により、節足動物におけるウイルス増殖機構の一端が明らかとなった。
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[Journal Article] Loop-mediated isothermal amplification applied to filarial parasites detection in the mosquito vectors : Dirofilaria immitis as a study model2009
Author(s)
Aonuma, H., Yoshimura, A., Perera, N., Shinzawa, N., Bando, H., Oshiro, S, Nelson, B., Fukumoto, S., Kanuka, H.
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Journal Title
Parasites & Vectors 2
Pages: e15
Peer Reviewed
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[Journal Article] p38 MAPK-Dependent Phagocytic Encapsulation Confers Infection Tolerance in Drosophila2009
Author(s)
Shinzawa, N., Nelson, B., Aonuma, H., Okado, K., Fukumoto, S., Miura, M., Kanuka, H.
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Journal Title
Cell Host & Microbe 6
Pages: 244-252
Peer Reviewed
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