2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物由来味覚受容体タンパク質を基盤にした呈味物質センサーの創出
Project/Area Number |
20688015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三坂 巧 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (40373196)
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Keywords | 食品 / 遺伝子 / 生体分子 / 味覚 |
Research Abstract |
近年、味物質を受容するいわゆる味覚受容体の実体が明らかとなった。そのうち甘味や旨味の受容体はGタンパク質共役型受容体であり、細胞外領域が大きいTIRファミリーのヘテロダイマーにより構成される。本研究においては、甘味・旨味受容体タンパク質を利用した「呈味物質センサー」を創出することを試みた。本年度は細胞系を用いた呈味物質センサーの改良を行った。ヒト甘味受容体について、安定発現株の構築を試みることにより、応答性の向上が可能となるかについて検討を行った。 甘味受容体を機能解析するためには、甘味受容体サブユニット(T1R2とT1R3)とキメラGタンパク質の計3遺伝子を発現させる必要がある。我々は配列特異的組換えを用いることによってゲノム中に1コピーのみを導入することが可能な市販の遺伝子導入システム(Flp-Inシステム)を利用することを考えた。この方法においては、外来遺伝子の安定的発現が期待されるものの、複数のタンパク質を同時発現させる際には発現させたい遺伝子を1つの発現プラスミドに集約する必要がある。そこで3遺伝子を発現させる発現コンストラクトを、複数のプロモーターならびにIRES配列を利用することによって構築した。作製した発現コンストラクトについて、安定発現細胞の作出を行った。 このようにして得られたヒト甘味受容体安定発現細胞においては、従来法と比較して甘味物質に対する応答性が劇的に向上した。応答細胞の頻度が顕著に上昇したのに加え、応答感度も上昇した。これまで応答測定が困難であった砂糖(スクロース)に対する応答も十分に確認することが可能であった。応答測定の簡便化のため、マルチウェルプレートを用いたセルベースアッセイを行ったところ、多種の甘味物質に対する濃度依存的な応答が確認できたことから、「呈味センサー細胞」としての利用ができる可能性が示された。
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Research Products
(4 results)