2010 Fiscal Year Annual Research Report
論理的分子設計によるMRIイメージングプローブの開発と生体への応用
Project/Area Number |
20689001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 健二郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (70451854)
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Keywords | MRI / 蛍光 / イメージング / ランタノイド / マルチモーダルイメージング |
Research Abstract |
MRI (magnetic resonance imaging)は、生体の深部に渡る断層画像を非侵襲的に、かつ高分解能で撮影できるため、臨床医療において様々な診断に汎用されている。MRI画像をより鮮明にするMRI造影剤として、主にGd^<3+>錯体が用いられており、さらに近年ではこのGd^<3+>錯体に機能を付加し、特定の病態や生体分子を可視化する試みが盛んに行われている。しかしながら、MRIの感度の低さや、Gd^<3+>錯体を動物個体に導入した際、排泄が早く、体内動態を制御する必要性があることなどから、機能性Gd^<3+>錯体の開発は困難であった。平成21年度までに、蛍光色素の化学的特性を利用することで、Gd^<3+>錯体を効率良く細胞内へ集積させる手法の確立に成功している。平成22年度には、これら知見を基に病変部位等を可視化できる新たな機能性MRI造影剤の開発を行った。その標的疾病として、動脈硬化に着目した。動脈硬化とは血管の内膜が肥厚・硬化し、コレステロールの沈着(プラーク)が生じる病変である。このプラークの破綻により脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な虚血性心疾患が生じるリスクが非常に高い。そこで、動脈硬化選択的に集積し、MRIで可視化可能とするMRI造影剤の開発を行った。蛍光色素BODIPYは動脈硬化部位と性質が類似した脂肪細胞の脂肪滴を選択的に染色することが知られている。そこで、BODIPY骨格をGd^<3+>錯体構造に導入したプローブ(BDP-Gd)を設計・合成し、動脈硬化モデルマウスであるApoEノックアウトマウスにてMRIによるイメージングを行ったところ、BDP-Gd投与により動脈硬化部位を明確に可視化することに成功した。さらに、高感度化したMRIプローブ(TEPA-Gd)の開発にも成功し、動脈硬化モデルウサギであるWHHLウサギでの検討も行った。
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