2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写振動を支えるエピジェネティックな管理法則の同定と生体リズム調整剤の開発
Project/Area Number |
20689002
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土居 雅夫 Kyoto University, 薬学研究科, 講師 (20432578)
|
Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / プロテオーム / 神経科学 / 薬理学 / 高血圧 / 生体リズム |
Research Abstract |
研究計画調書の内容に従って研究を遂行した。すなわち、転写振動を支えるエピジェネティックな時刻管理法則の同定と生体リズム調整剤の開発に向け、時計蛋白質PER2を含む転写調節複合体の精製、および脳内の中枢時計である視交叉上核(SCN)において発現する機能未定のG蛋白質共役型受容体(GPCR)群のスクリーニングと機能解析を行った。またこれらに並行し、生体リズム異常に伴う高血圧発症メカニズムを明らかにした(Doi et al., Nature Med., 2010)。これまでに疫学調査の結果から高血圧の罹患率は昼夜交代勤務者において高いことが知られていたが、実際に生体時計と高血圧を結びつける分子機序は全く不明であった。研究代表者は今回、生体リズム異常マウスが「食塩感受性高血圧」を呈することを見出し、さらにその病因が「分子時計に制御される新規のミネラロコルチコイド合成系酵素Hsd3b6」の過剰発現にあることを突き止めた。驚くことに、この酵素はヒトにも保存されており、これまで原因不明の難治性疾患として知られていた特発性高アルドステロン症の原因分子である可能性が今回の研究の結果から浮上した。そのため、これら一連の研究成果は、疾患における生物時計の意義付けを大きく変える重要な知見を提供したといえる。
|