2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによる遺伝子発現制御システムを搭載したアデノウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
20689004
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
櫻井 文教 National Institute of Biomedical Innovation, 独立行政法人医薬基盤研究所・基盤的研究部・遺伝子導入制御プロジェクト, 研究員 (70370939)
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Keywords | マイクロRNA / 制限増殖型アデノウイルス / 癌治療 / 免疫応答 / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
本年度は、腫瘍特異的プロモーターによりアデノウイルス(Ad)の増殖に必須の遺伝子であるE1遺伝子を癌細胞特異的に発現させることにより、癌細胞を死滅させる制限増殖型Adにおいて、E1遺伝子発現カセットに癌細胞特異的に発現減少しているmicroRNA(miRNA)の標的配列を挿入することで、癌細胞における増殖を維持したまま、正常細胞における増殖をできる限り抑制することを試みた。癌細胞特異的に発現が抑制されたmiRNAとしては、miR-143,-145,-199aを選択した。実際に各種癌細胞株でこれらの発現を検討したところ、正常細胞と比較し、発現が減少していた。まず作製した制限増殖型Adを癌細胞に作用させたところ、従来の制限増殖型Adと同様、効率よく複製し癌細胞を死滅させた。次にヒト初代培養細胞に対し、miRNAの標的配列を含む制限増殖型Adを作用させたところ、従来の制限増殖型Adと比較し、その増殖は3~1000倍に抑制された。以上の結果より、本制限増殖型Adは、高い安全性を有しており、今後の癌ウイルス療法にきわめて有用であると期待される。また自己増殖不能Adベクターにおいて、わずかながら発現するウイルスタンパク質による免疫応答を抑制することを目的に、E2aもしくはE4遺伝子の3'日翻訳領域にmiRNAの標的配列を挿入したAdベクターを作製した。次年度、本Adベクターの機能を評価する予定である。さらに、CreリコンビナーゼとmiRNAによる遺伝子発現制御システムを併用することにより、さらに肝臓における遺伝子発現を抑制可能なAdベクターシステムを作製した。
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Research Products
(4 results)