2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己DNAによる自然免疫活性化の分子機構とその生理作用
Project/Area Number |
20689008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川根 公樹 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60362589)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 関節リウマチ / マクロファージ / DNA分解 |
Research Abstract |
DNaseIIは貪食細胞内で働くDNA分解酵素であり、DNaseIIを欠損するマクロファージでは、内部に未分解自己DNAが蓄積する。成体でDNaseII遺伝子が破壊されるDNaseII欠損マウスは、加齢とともにヒト関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis : RA)に類似した関節炎を発症する。RAは様々な免疫要素の関与が報告されている自己免疫疾患であるが、その発症機序には不明な点が多い。そこで、前年度までにDNaseII欠損マウスと様々な免疫要素を欠損するマウスとを交配させ、多重欠損マウスを作製した。今年度はこれら多重欠損マウス各々について、(1)経時的な四肢の腫脹計測(2)10ヶ月齢以上の高週齢マウスにおける関節組織の組織学的解析(3)高週齢マウスの関節部におけるMMP-3及び炎症性サイトカイン遺伝子の発現定量、により関節炎が発症するかどうかを解析した。 DNaseII欠損マウスの関節組織ではTNF-α,IL-1β,IL-6遺伝子発現が著しく上昇する。多重欠損マウスの解析より光TNF-α,IL-1β,IL-6いずれの欠損もDNaseII欠損による関節炎発症を強く抑制することが明らかとなった。一方、DNaseII欠損マウスの骨髄を野生型マウスに移植した骨髄キメラマウスは関節炎を発症し、骨髄由来の血球細胞でのDNaseII欠損が発症に十分であることがわかったが、T細胞及びB細胞を持たないRag2欠損背景でも関節炎は発症した。これらの結果より、DNaseII欠損マウスは、自己DNA蓄積により自然免疫が活性化された結果、獲得免疫非依存的に炎症性サイトカインが関節組織で恒常的に産生され、関節炎を発症するとわかった。RAにおいても同様の機構で疾患が発症するケースが考えられ、これまで獲得免疫の関与が重要であると考えられてきたRAの病態理解に新たな手がかりをもたらした。
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Research Products
(7 results)