2009 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡法によるB細胞応答における分化選択機構の研究
Project/Area Number |
20689011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡田 峰陽 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫細胞動態研究ユニット, ユニットリーダー (50452272)
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Keywords | 免疫学 / 細胞・組織 / イメージング |
Research Abstract |
平成21年度は、前年度に作成したBcl6YFPノックインマウス(胚中心B細胞のホールマーク転写因子BCL6のタンパク質レベルでの発現を追跡するレポーターマウス)を用いて、B細胞分化に関する解析を進めた。Bcl6YFPマウスと、B細胞受容体遺伝子ノックインマウスと交配させることにより、B細胞の活性化とBcl6発現を、免疫応答の初期段階から追跡できるシステムを構築した。これにより、免疫応答初期段階では、従来の細胞表面抗原のプロファイルから胚中心B細胞とされてきた細胞群のなかにも、Bcl6を発現しているものと、まだ発現していないものの集団があることが明らかとなった。これらの細胞群をセルソーターで分画することにより、胚中心B細胞とその前段階の活性化B細胞の遺伝子発現プロファイルのより詳細な差が明らかとなった。このようにBcl6YFPのheterozygousマウスは有用なBcl6レポーターマウスであるのに対して、Bcl6YFPのhomozygousマウスは、B細胞やヘルパーT細胞の分化の観点では、Bcl6遺伝子ノックアウトマウスに近い表現型を示す一方で、ノックアウトマウスでみられる致死性の炎症性疾患を起こさないことが分かった。それため、homozygousマウスにB細胞受容体や、T細胞受容体遺伝子と、蛍光タンパク質遺伝子を容易に導入することが出来た。このマウスを用いた二光子イメージングによって、Bcl6機能不全が胚中心B細胞の分化だけでなく、ヘルパーT細胞の胚中心への移入と保持を阻害することが明らかとなった。これらの結果は長期免疫にとって重要な胚中心の形成・維持機構について、重要な情報を与えると考えている。
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