2008 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民の各種肝疾患の有病状況と重症度の修飾要因に関する分子疫学研究
Project/Area Number |
20689014
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 めぐみ Saga University, 医学部, 助教 (90336115)
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Keywords | 疫学 / 肝疾患 / 生活習慣病 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
既に完了した佐賀市民約12,000人のコーホート(J-MICC Study佐賀地区)のベースライン調査の資料および試料を用いて各種肝疾患の有病率および関連する生活習慣などを明らかにし、肝障害の予防に資することを目的とし横断研究を実施した。ウイルス肝炎群(HBsAg(+), HCVCO≧30)、非アルコール性肝障害群(AST, ALT上昇(AST>40, ALT>40, GGT>30(女),>70(男)),アルコール飲まない、または日本酒1合/日未満)、アルコール性肝障害群(AST, ALT上昇アルコール日本酒1合/日以上)の有病割合は4.0%、15.5%、7.8%であった。男女別に検討すると、ウイルス肝炎の有病率は同程度であるが、男性ではアルコール性肝障害の割合が15.9%と女性の1.8%より有意に高く、非アルコール性肝障害の割合は女性で19.4%と男性の10.1%に比べて有意に高かった。各種肝疾患群と正常群を比較したところ、ウイルス肝炎群は年齢、AST、ALTが有意に高く、非アルコール性肝疾患群ではウエスト周囲計、体重、体脂肪率、BMI,総コレステロール、高感度CRP(男性のみ)が有意に高く、アルコール性肝疾患はアルコール摂取量、GGT、喫煙率、高感度CRP(女性のみ)が有意に高いという特徴がみられ、これらは過去の報告を支持するものであった。保存血清961検体について、ELISA kitを用いて総アディポネクチンの濃度を測定したところ、平均はそれぞれ男性7.7(μg/ml)、女性11.9(μg/ml)と女性で有意に高く、各種肝疾患群間でも差が認められ、アルコール性、非アルコール性肝疾患群で低いことが明らかになった。今後、他のサイトカインの測定を進めるとともに、アディポネクチンの分画や他のサイトカインに着目した検討や、各種肝疾患ごとの肝障害の重症度との関連についても検討が必要と考えられた。
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