2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域住民の各種肝疾患の有病状況と重症度の修飾要因に関する分子疫学研究
Project/Area Number |
20689014
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 めぐみ Saga University, 医学部, 助教 (90336115)
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Keywords | 疫学 / 肝疾患 / 生活習慣病 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
佐賀市民約12,000人のコーホート(J-MICC Study佐賀地区)のベースライン調査のデータを用いて各種肝疾患の有病率や重症度に関連する要因を明らかにするために横断研究を実施した。コーヒー飲用の肝障害に対する予防効果、および交互作用を検討するために自記式食事摂取頻度調査票をもとにコーヒーの摂取頻度を5段階(飲まない、1杯/日未満、1-杯/日、3-4杯/日、5杯/日以)に分けてAST (IU/L)、ALT (IU/L)、GGT (IU/L)の幾何平均値を求めた。コーヒー飲用が増えるごとに、肝機能指標の補正幾何平均値は有意に低下し、コーヒー飲用とAST、ALT、GGTとの間に負の関連が認められた。これらの関連は、いずれも男性でより強く、また男女ともに肝炎ウイルス感染やその他の交絡因子の影響を補正しても認められた。男性ではコーヒーと飲酒に交互作用が認められ、コーヒーの肝障害を抑制する作用は特に多量飲酒者において顕著に認められた。男女ともにコーヒーとHCV感染に交互作用が認められ、コーヒーの肝障害を抑制する作用は特にHCVとキャリア群で顕著に認められた。また、男性と閉経女性では血清中のフェリチン値の高い群でコーヒー飲用による肝障害抑制効果が最も顕著であった。保存血清961検体について、ELISA kitを用いて総アディポネクチン、および高分子アディポネクチンの濃度を測定し、各種肝疾患ごとの肝障害の程度との関連を検討した。アディポネクチンは非アルコール性肝障害のALTの値との負の関連が最も強く、腹囲、BMI,体脂肪率の影響を補正しても同様であった。以上より、コーヒーが飲酒、肝炎ウイルスの感染、鉄の蓄積などによる肝の炎症を抑制する可能性、および、非ウイルス性肝障害の重症度に肥満の程度と独立してアディポネクチン濃度が関与する可能性が示唆された。
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