2011 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ原因遺伝子シノビオリンの発現調節機構の解析
Project/Area Number |
20689019
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40367389)
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / 滑膜細胞増殖 / シノビオリン / 小胞体関連分解 / E3ユビキチンリガーゼ / シノビオリンプロモーター |
Research Abstract |
われわれは、これまで関節リウマチ(Rheumatoid arthritis;RA)の根治的治療を目標に掲げ、さまざまな視点から研究を展開し、滑膜細胞にちなんだ遺伝子のクローニングに成功し、これをシノビオリンと命名した。 シノビオリンは、小胞体関連分解で機能するE3ユビキチンリガーゼで、RA滑膜細胞に過剰発現している分子である。また、シノビオリン遺伝子過剰発現マウスは関節炎を自然発症し、逆にシノビオリン遺伝子ヘテロ欠損マウスは関節炎の発症に抵抗性を示すことをこれまでに明らかとした。すなわちRA滑膜細胞に過剰発現したシノビオリンは、小胞体関連分解の機能を活性化させ、小胞体ストレス誘導性のアポトーシスを抑制し、滑膜細胞増殖を引き起こすことが考えられた。またその後の研究で、シノビオリンはがん抑制遺伝子であるp53を基質とし、p53依存的なアポトーシスを抑制することも明らかとなり、シノビオリンの広範にわたる抗アポトーシス作用がRAの病態形成を促していることが考えられた。 本研究では、シノビオリンプロモーター上に結合するタンパク質を探索し同定することで、シノビオリンの発現調節およびRA発症との関与を明らかとすることを目的とし、EBS領域をプローブとしてゲルシフトアッセイを行った。その結果、RA滑膜細胞特異的にこの領域に結合する複合体が存在することが明らかとなったため、このタンパク質複合体の精製・同定を進めたところ、interleukin enhancer binding factor 3(ILF-3)がこの複合体に含まれることが明らかとなった。さらにシノビオリンは線維化形成にも深く関与することが明らかとなり、シノビオリンの発現調節機構が生理学的・病態学的に重要であることが示された。したがってシノビオリンを抑制することは、RAをはじめとした種々の疾患の治療につながることが考えられたため、シノビオリン阻害剤を用いた検討を行ったところ、RAの動物モデルにおいて抑制的効果を示すことが明らかとなった。
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