2010 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病におけるβアミロイドおよびタウの分子イメージングプローブの開発
Project/Area Number |
20689023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (80336180)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / タウ / PET / SPECT / イメージング / 診断 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)における脳内病理学的変化として、βアミロイド(Aβ)を主成分とする老人斑と、異常リン酸化されたタウタンパク質を主成分とする神経原繊維変化(NFT)が知られている。本研究では、NFTの主成分である異常リン酸化タウタンパク質凝集体を標的とした分子イメージングプローブの開発を計画した。今回、タウ凝集阻害能を有することが報告されているローダニン(RH)およびチオヒダントイン(TH)を母核に選択し、核医学イメージングを可能とする放射性ヨウ素を導入したRHおよびTH誘導体を設計・合成し、そのNFTイメージングプローブとしての有用性を評価した。Thioflavin-S(ThS)を用いた阻害実験において、RH1、TH1、TH2のK_i値は、それぞれ470、150、63nMを示し、これら誘導体がタウ凝集体へ高い結合性を有することが示唆された。次に、タウ凝集体と同様にβシート構造を持つAβ42凝集体を用いて、同様の阻害実験を行った結果、RH1、TH1、TH2のK_i値は、それぞれ740、830、460nMを示し、いずれの誘導体においてもAβ42に比較し、タウへの高い結合性を示した。さらに、RHおよびTH誘導体の脳移行性を検討するため、マウス体内放射能分布実験を行った。その結果、いずれの誘導体も脳移行性を示したが、中でも[^<125>I]TH2は、投与2分後に高い脳移行性を示し、その後、速やかな放射能消失を示した。 次いで、ヒト脳内NFTへの結合性を評価するため、AD患者脳切片を用いた[^<125>I]TH2によるオートラジオグラフィーを行った。その結果、脳切片の抗リン酸化タウ抗体(AT8)免疫染色陽性部位に、顕著な[^<125>I]TH2の放射能集積部が認められた。さらに、同様の脳切片を用いて非標識体TH2による蛍光染色を行ったところ、TH2由来の蛍光像はAT8の免疫染色像と一致した。この結果より、TH2がヒト脳内に蓄積したタウ凝集体へ結合性を有することが明らかとなった。以上の結果は、TH2による生体NFTイメージングの可能性を示唆するとともに、今後のNFTイメージングプローブの開発に有益な情報を与えると考えられる。
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Research Products
(13 results)