Research Abstract |
神経因性疼痛に重要な役割を有しているP2X4Rの活動刺激依存的に誘導される神経因性疼痛遺伝子を特定する目的で, まず, 野生型C57BL/6マウスおよびP2X4R欠損マウスの第4腰髄神経へ損傷を加え(神経因性疼痛モデル), 第3〜5腰髄を摘出し, 組織中に含まれているRNAを抽出した. その後, DNAマイクロアレイにより網羅的に解析した結果, 野生型マウスの非損傷側脊髄に比較し, 神経損傷側脊髄で遺伝子発現が2倍以上増加する分子を約100個検出できた. その中には, ミクログリア細胞マーカー遺伝子のIba1や今まで発現変動が報告された遺伝子(カテプシンS, P2Y12受容体やToll様受容体2など)も含まれていた. また, 複数回のDNAマイクロアレイ解析において, 上記で検出された発現増加遺伝子の多くが再現性よく検出されたことから, 得られた結果の信頼性が確保できたといえる. また, 今現在まで報告されていない遺伝子も数多く検出できた. さらに, 同様のDNAマイクロアレイ実験を神経損傷P2X4R-KOマウスの脊髄由来RNAを用いて検討した結果, 野生型マウスの脊髄で発現増加する遺伝子群の中で, その増加が著明に減弱している遺伝子を見つけることに成功した. 野生型およびP2X4R欠損マウスの脊髄におけるそれら遺伝子の発現変動はリアルタイムPCR法によっても確認できた. 一方, ミクログリアP2X4R-Tgマウスの作製を目的に, ミクログリア細胞で高発現する分子Ibalのプロモーター領域を挿入したプラスミドベクターに, マウスミクログリア細胞よりクローニングしたP2×4RcDNAを組み込み, Tgマウス創出のためのプラスミドベクターの作製を完了した.
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