2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の新規ターゲット味覚関連分子:ポリバレントケモセンサーとしての機能解析
Project/Area Number |
20689034
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重村 憲徳 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (40336079)
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Keywords | 味覚 / 遺伝子多型性 / 受容体 / 臓器 / ヒト / 肥満 |
Research Abstract |
生物は、生体内外の様々な物理的、化学的変化を敏感に感知し、様々な制御ネットワークをダイナミックに調節することでホメオスタシスを維持する。この糖代謝や、電解質、アミノ酸、脂質代謝などの制御システムの中心的役割を担う"起点"となるのが、"化学物質センサー"である。近年、味覚受容体は口腔内の味細胞に発現するだけでなく、口腔以外の臓器にも発現していることが明らかになってきた。このことから味覚受容体は口腔のみならず、様々な臓器で、様々な機能をもっ" ポリバレント(多機能)ケモセンサー" である可能性が強く示唆された。本研究では、様々な臓器における味覚関連分子の発現を調べ、またこれらの遺伝子多型性(SNP)が肥満、糖尿病、味覚異常に関与するかどうかを明らかにすることを目的とする。まず疾患関連ゲノム領域データベース情報から関連が示唆される味覚関連分子とSNPを選択した(ゲノムの疾患関連領域に座位し、コーディング領域にマイナーアリル頻度10%以上のアミノ酸変異を伴うことを指標とした)。この結果、肥満には、甘味/うま味受容体TIR1, TIR2, IR3、インスリン依存性肥満にはTrpm5、味覚異常にはTIR1, TIR2, TIR3, mGluR1のSNPがその候補として考えられた。マウスをもちいた発現解析(RT-PCR)の結果、膵臓などの臓器にTIR3の発現していることが明らかとなった。ヒトTIRのアミノ酸変異がリガンド結合アフィニティーに影響するかどうか調べるため、健常者の味覚認知閾値を調べ、候補SNPとの相関を検索した。この結果、TIR1とTIR3の2つのSNPがうま味感受性に影響している可能性が示唆された。以上のことより、味覚受容体のアミノ酸変異は、味覚だけでなく、腸や膵臓など他の臓器における化学物質のセンシングに影響している可能性が示唆された。
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[Journal Article] Gurmarin sensitivity of sweet taste responses is associated with co-expression patterns of T1r2, T1r3, and gustducin2008
Author(s)
Shigemura N, Nakao K, Yasuo T, Murata Y, Yasumatsu K, Nakashima A, KatsukawaH, SakoN, Ninomiya Y.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun. 367
Pages: 356-63
Peer Reviewed
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