Research Abstract |
本研究では, 主に高信頼性を有するネットワーク設計問題を対象に, 効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を推し進め, さらに離散最適化問題としての一般化を図ることを目的とする. 本年度得られた主な結果は以下の通りである. 1. 辺の付加により与えられた連結度要求を満たすようにグラフを増大させる連結度増大問題の一般化の一つとして, グラフ, 二つの点集合族W_1, W_2, および要求関数 r. W_1×W_2→R_+(R_+は非負実数集合を表す)が与えられたとき, 最小本数の辺を加えることで, 集合W_1∈W_1とW_2∈W_2の各組に対し, W_1からW_2への辺連結度をr(W_1, W_2)以上に増大させる問題を定義した. この問題に対し, 多項式時間でO(logα(W_1, W_2)倍近似の解を出力するアルゴリズムを構築した. ただし, α(W_1, W_2)はr(W_1, W_2)>0であるW_1∈W_1とW_2∈W_2の組の数を表す. また, P=NPでなければある定数cに対し, clogα(W_1, W_2)倍より良い近似解が多項式時間で得られないことを示すことで, 上記の近似アルゴリズムがオーダーの意味で最適であることを示した. さらに, この問題に対し, 模調関数を用いた離散最適化問題としての特徴づけを行った. 2. 与えられたグラフにおいて, 隣り合う2点のラベルの差を2以上, 距離2である2点のラベルの差を1以上にするように, 最小個数のラベルでラベル付けする問題を, L(2, 1)-ラベリング問題という. この問題は, 無線通信ネットワーク設計に応用がある. この間題に対し, グラフが木の場合, 実行可能なラベル付けの性質を解析することでアルゴリズムの高速化を行った.
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