Research Abstract |
本研究では,主に高信頼性を有するネットワーク設計問題を対象に,効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を推し進め,さらに離散最適化問題としての一般化を図ることを目的とする.本年度得られた主な結果は以下の通りである. 1.無向グラフG=(V,E),点集合族W={W_1,W_2,…,Wp},非負整数kが与えられたとき,Gに最小本数の辺を加えることで,各節点v∈Vと各W∈wの間に辺を共有しないパスがk本以上存在するように増大する問題に対し,これまで計算の複雑さが未解決であったk≧3の場合が多項式時間で解けることを示した. 2.グラフGの(p,q)の-全ラベリングとは,Gの点と辺への0からkまでの整数値の割り当てであり,点とそれに接続する辺の間ではp以上,隣り合う2点間または2辺間ではq以上の差があるもののことをいう.Gが与えられたとき,kが最小である(p,q)-全ラベリングを求める問題を(p,q)-全ラベリング問題という.この問題は,無線通信ネットワーク設計に応用がある.この問題に対し,つぎの(i)(ii)の結果を得た. (i)Gが外平面的グラフ,p=2,q=1の場合,kのタイトな上界を示した.これは,2007年に提示されたD.ChenとW.Wangの予想を肯定的に示したものである. (ii)Gが木かつq≦p≦3q/2の場合,問題が多項式時間で解けることをはじめて示した.これは,この問題の一つの拡張であるL(p,q)-ラベリング問題がqがpの約数でない全ての(p,q)に対しNP困難であることと対照的である.また,提案アルゴリズムの計算時間は線形時間である.そのほか,全ての(p,q)に対し,kのタイトな上界と下界を示した.
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