Research Abstract |
本研究では,主に高信頼性を有するネットワーク設計問題を対象に,効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を推し進め,さらに離散最適化問題としての一般化を図ることを目的とする.本年度得られた主な結果は以下の通りである. 1.無向グラフG=(V,E)と非負整数kが与えられたとき,最小本数の辺を加えてGの直径をk以下にする問題は,直径要求をもつグラフ増大問題と呼ばれ,通信遅延を考慮したネットワーク設計問題の一つである.この問題に対し,Gが外平面的グラフのとき多項式時間で定数倍近似可能であることをはじめて示した.また,Gの仮定を部分2-木と拡張した場合でも,左が偶数であれば定数倍近似可能であることを示した. 2.グラフGの(p,q)-全ラベリングとは,Gの点と辺への0からkまでの整数値の割り当てであり,点とそれに接続する辺の間ではp以上,隣り合う2点間または2辺間ではq以上の差があるもののことをいう.Gが与えられたとき,kが最小である(p,q)-全ラベリングを求める問題を(p,q)-全ラベリング問題という.この問題は,無線通信ネットワーク設計に応用がある.この問題に対し,Gが2-退化的グラフの場合,k≦p+(Δ+1)qが成り立ち,特に,p=q=1のときk≦Δ+1であることを示した.ただし,ΔはGの最大次数である.これは,2-退化的グラフの場合,2002年に提示されたHavetとYuの予想が成り立つことを示したものである.
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