2008 Fiscal Year Annual Research Report
広範な波動数値音響解析のための次世代境界要素法の構築
Project/Area Number |
20700007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 洋介 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90456187)
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Keywords | シミュレーション工学 / ソフトウェア開発効率化・安定化 / 計算物理 / 音響数値解析 |
Research Abstract |
境界要素法(BEM)をベースに, 各種の連成手法を高速多重極法(FMM), Krylov法といった優れ効率化手法を利用して組み入れ, 高精度・高効率(メッシュ作成などの人間側の負荷も含む)な総合的解析ツールとして開発することを目的としている. 本年度の成果は以下のとおりである. 1. 音響-音響連成系解析 : FMBEM(FMMとKrylov法を適用した効率化BEM)による多孔質吸音材内の解析を可能とするため, (1) その基礎となる3次元音場基本解の多重極展開表現に関して誤差評価を行った. 吸音材内部での波動の減衰により相対的に数値誤差が増大することなどから展開表現が発散する危険があることを示し, これを克服するため, 減衰の大きい遠方からの影響評価を限定する設定式を提案した. (2) 設定式をFMBEMに実装した後, 多孔質材内の音場解析を行い, 計算精度が良好なことを確認した. 2. 音響-振動連成系解析 : (1) 連成を行う部分領域ごとに閉じた形で行列ベクトル積を算出し, それらを重ね合わせることで, Krylov法に必要な全体行列ベクトル積を算出する手法を検討した. 音場には効率的なFMBEMを用いる一方, 振動系には従来のFEMを用いるが, 扱う振動モードが音場の自由度に比べ小さいことから, 計算に特段の効率化を施さなくともFEMの計算負荷は過大とならない. (2) 手法を実装し, 単純な問題の解析を通して精度・効率を検証した. Krylov法の収束は, 共鳴周波数付近を除けば良好であった. 3. 低周波数域での大自由度波動解析の効率化 : 高周波数域用の細かい要素メッシュ(自由度大)をそのまま用いながら低周波数域での計算コストを低減するための手法の開発を目指している。よく知られているRokhlinの対角化に基づくFMMが適用できないため, (1) オリジナルのFMMに基づく手法を複数比較検討した. 多重極-多重極展開間の変換にはTaylor展開に基づくもの, 多重極-局所展開間の変換には座標系の回転・軸方向変換・逆回転に基づく手法が有効なことを数値実験により示した.
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Research Products
(4 results)