2009 Fiscal Year Annual Research Report
広範な波動数値音響解析のための次世代境界要素法の構築
Project/Area Number |
20700007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 洋介 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (90456187)
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Keywords | シミュレーション工学 / ソフトウェア開発効率化・安定化 / 計算物理 / 音響数値解析 |
Research Abstract |
境界要素法(BEM)をベースに,各種の連成手法を高速多重極法(FMM),Krylov法といった優れた効率化手法を利用して組み入れ,高精度・高効率(メッシュ作成などの人間側の負荷も含む)な総合的解析ツールとして開発することを目的としている。本年度の成果は以下のとおりである。 1.音響-音響連成系解析 (1)実問題の解析による連成手法の有用性検証:FMBEM(FMMとKrylov法を適用した効率化BEM)による多孔質吸音材内の解析を可能とするため、昨年度は多重極展開誤差を増大させないための設定を提案した.本年度は,吸音体を有する複雑形状の居室を想定し,吸音体内部音場との連成解析を行うことで設定式の有効性・実用性を検証した.解析にあたっては,PUプローブ(音圧・粒子速度センサー)を用いて吸音体表面インピーダンスの測定を行い、数値解析結果と比較することで解析に必要な吸音体の流れ抵抗を推定した.流れ抵抗が大きい場合,提案した設定により誤差の低下を防ぐことができた.また,計算効率に直結する解の収束についても改善された. 2.低周波数域での大自由度波動解析の効率化 (1)解析アルゴリズムの構築・検証:昨年度比較検討した展開係数変換手法を用いて,低周波数域のためのFMBEM(LF-FMBEM)の解析アルゴリズムを実装し,理論解の既知である球問題及びホールの解析を通して精度・効率を検証した.また,本解析を通して数値的な各種設定と計算効率の関係について検討し,計算時間・メモリの優先度に応じた具体的な設定方法について論じた. (2)解析アルゴリズムの拡張:LF-FMBEMの汎用性を高めるため,上記解析アルゴリズムを拡張し,縮退境界問題を解析可能とした.これにより厚みが0とみなせる物体を解析可能となった.外部問題にこの手法を用いることで,BEMの弱点として知られる解の一意性の問題を回避できることから,本手法の有用性は高い,球外部問題,高架上の鉄道からの放射問題を解析し,手法の有効性を確認した.
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