2009 Fiscal Year Annual Research Report
汎用的なネットワーク設計問題に対するアルゴリズムの研究
Project/Area Number |
20700008
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福永 拓郎 Kyoto University, 情報学研究科, 助教 (60452314)
|
Keywords | 組合せ最適化 / グラフ理論 / ネットワーク設計 / 整数フロー / グラフ分割 / グラフ向き付け |
Research Abstract |
グラフの整数フローの存在性について研究を行い,4辺連結HHDフリーと呼ばれるクラスに属するグラフが3フローを持つことを証明した.この結果は,グラフ理論の分野で広く知られている3フロー予想を部分的に示すものであり,4辺連結区間グラフにおける3フローの存在性を示した既存研究の結果を拡張するものである.我々の証明方法は,グラフが持つ部分構造のパターンを列挙した後,フローの存在性を計算機によって確認するという手法を用いており,他のグラフクラスにおいても同様の手法を適用してさらに新たな結果を得ることが期待できる. さらに,グラフの分割問題を拡張した問題であるハイパーグラフ分割問題や,さらにそれを拡張した劣モジュラシステム分割問題に関して新しいアルゴリズムを得た.グラフやハイパーグラフの最小容量分割はネットワークの最も脆弱な部分であると見なすことができることから,最小容量分割を求める問題である分割問題はネットワークの安定性を考える上で重要な問題である.また,劣モジュラシステム分割問題は多人数によってコストを効率よく配分する状況をモデル化したものと考えることができる.既存のアルゴリズムと比較したときに,我々のアルゴリズムは解の近似精度に関してより良い保証を持つ. 加えて,点集合間の辺連結性を要求として持つグラフの向き付け問題を考え,グラフが要求を満たす向き付けを持つための条件や,その向き付けを計算するアルゴリズムに関する研究を行った.これは既存の向き付け問題を拡張する結果であり,効率的なネットワーク設計の基礎とたる技術となることが期待される.
|