2010 Fiscal Year Annual Research Report
隠れ部分群問題に対する効率的量子アルゴリズムの構築可能性の分析
Project/Area Number |
20700017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
縫田 光司 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (20435762)
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Keywords | 量子情報理論 / 応用数学 |
Research Abstract |
平成22年度の本研究においては、前年度の後半に得た、隠れ部分群問題の解決に向けた新たなアイデアの検討を行った。特に、隠れ部分群問題についての従来主流となっている定式化の再検討を行った。その過程において、量子アルゴリズムの研究において不可欠な基礎理論である量子情報理論について操作論的な観点での考察を行い、量子計算機の最小記憶素子の候補と考えられている2準位量子系(キュービット)の満たすべき性質について、その本質的な部分が何であるかを見出す研究を行った。具体的には、ある物理系がキュービットとして振舞うための必要充分条件を、その物理系が満たすべき物理原理の族として与えることに成功した。その際、前年度までに考察を行った量子状態の識別問題に対する研究で得た知見を有効に活用した。この研究成果に関して、査読付き国際会議等での口頭発表(登壇)を行うとともに、国際誌への論文投稿(2編)と、プレプリントサーバーへの公開を行った。特に国際会議での発表時には、多くの参加者から積極的な質問や今後の研究発展の方向性についての意見などを受け、この成果に対する当該分野での注目度を推し量ることができた。また、この研究成果は量子アルゴリズムを実行する量子計算機の実装分野においても何らかの知見を提供するものと期待している。この成果を踏まえた隠れ部分群問題に対するアプローチは現在も継続中であり、研究最終年度となる次年度(平成23年度)中には研究成果の投稿を行えるものと見込んでいる。 また、昨年度までの研究成果のうち、国際誌での発表を行えていなかった二つの研究成果について、必要な改善を施した上で、物理学分野の主要国際論文誌において論文公表を行った。
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Research Products
(7 results)