2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700031
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
成見 哲 Keio University, 大学院・理工学研究科, 講師 (10342825)
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / GPU / PLAYSTATION 3 |
Research Abstract |
本研究の目的は、グラフィックカード(GPU)やゲーム機などの準汎用的な計算機を効率的に粒子ベースの科学技術計算に適応できるライブラリプログラムを開発することである。そしてこのライブラリを用いて分子動力学シミュレーションや渦法などのプログラムを加速する。この結果通常のPCに比べて一桁コストパフォーマンスに優れる計算環境を実現することを目指す。 平成20年度は、ライブラリの基本部分を開発した。GPUを搭載したPCを購入し、MDGRAPE-3用のMR3ライブラリの互換ライブラリを、GPUとPLAYSTATION 3(PS3)向けに開発した。MR3ライブラリは、申請者が以前に開発したMDGRAPE-3用のライブラリである。MDGRAPE-3に特化したライブラリであるが、このライブラリ互換にすることで動作するアプリケーションがいくつかある。例えば、AMBERやCHARMMなどの生体高分子の分子動力学シミュレーションによく使われるプログラムを動かすことが出来る。その際注意しなければならないのは計算精度である。GPUやPS3では基本的に単精度しか高速に演算出来ないため、複数の単精度変数を組み合わせて精度を向上させる方法を実装した。 次にMDGRAPE-3では計算出来ないような粒子間相互作用も計算できるようにした。例えばMDGRAPE-3では、ペアの原子種の組み合わせに応じてパラメータを変化させることができるが、そのパラメータの数は2個までしか対応しない。Lennard Jonesのような典型的な分子間力の形であれば問題がないが、例えばTosi Fumiポテンシャルでは4つのパラメータが必要になる。GPUを用いることでTosi Fumiポテンシャルを使いながらも効率的にNaC1の分子動力学シミュレーションを加速した。
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