2009 Fiscal Year Annual Research Report
仮想計算機の遠隔ライブマイグレーションに関する研究
Project/Area Number |
20700038
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
広渕 崇宏 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 情報技術研究部門, 産総研特別研究員 (20462864)
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Keywords | 仮想化 / 仮想計算機 / マイグレーション / ストレージ / 仮想ディスク / WAN / 仮想マシンモニタ / ネットワークストレージ |
Research Abstract |
本研究では、仮想計算機(VM)の動的再配置を、遠隔拠点に対して透過的かつ効率的に実現することを目指している。VMの再配置によって、データセンタの負荷を拠点横断的に分散させることで、データセンタのサービス継続性を高め稼働効率を向上できる。 しかし、既存のVM技術は、LAN環境を前提とした設計となっており、WAN環境に対してそのまま適用することは難しい。VMを再配置する際には大量のデータ転送をともなう。LAN環境に比べて遅延が大きく帯域が狭いWAN環境においては、効率的なデータ転送を行えない。 そこで本研究では、四を再配置する際のデータ転送手法を改良して、WAN環境でも効率的なVM再配置を可能とする機構を開発している。本年度は第一に、昨年度に引き続いて、VMを構成するデータにおいて最も大きな要素である仮想ディスクを効率的に移動するために、仮想ディスクの透過的な遅延再配置機構の開発を進めた。VMの再配置時に一度に仮想ディスクを遠隔拠点にコピーしてしまうと、VMの実行場所をすぐに切り替えられない。そこで、重要なディスク領域のみ先に移動先にコピーし、その他の領域はあとからコピーすることで、VMの再配置時間の短縮をはかる。本年度はオープンソースで実装を公開しながら実環境での有用性を検証した。また国際会議等において研究発表を行った。第二に、VMを構成するデータとして次に大きい要素である仮想メモリに対しても再配置機構を開発した。必要なメモリ領域のみ移動先にコピーして、VMの実行ホストを切り替え、その後残りのメモリ領域をコピーする。実行ホストを切り替えるために必要なデータ転送量を1MB以下に抑えることで、1秒以内での実行ホスト切り替えを可能とした。国内の学会等で研究発表を行い、論文賞やデモンストレーション賞を受賞した。
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