2009 Fiscal Year Annual Research Report
電荷と電流を変数とする回路表現に基づくEMC解析の実現
Project/Area Number |
20700047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久門 尚史 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (80301240)
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Keywords | EMC / コモンモード / 単導体線路 / Maxwell方程式 / 回路モデル / 伝搬線電流 / 静止点電荷 |
Research Abstract |
従来の電圧と電流を変数とする回路モデルに比較してマクスウェル方程式と親和性の高い電荷と電流を変数とする回路モデルとして、昨年度に提案した伝搬線電流と静止点電荷を用いた回路モデルを帰路線をもたない屈曲単導体に適用し、提案モデルの有効性を確認した。 適用に当たっては新たに半径方向の電界を考慮し、線要素を導体表面に配置し、セル中央付近の導体表面において電界が境界条件をみたすことを条件に計算を行った。計算結果からは、屈曲部において電流の反射と透過が見られること、空間伝搬による誘導がみられることが確認された。また、セルの長さ、表面に配置する線要素の数、境界条件を与える位置などを変化させ、それらに対する依存性を調べた結果、提案手法は非常に安定して結果が得られることが確認できた。さらにFDTD法による電磁界解析と比較を行い、提案モデルが十分な精度でFDTD法による結果と一致することが確認できた。提案モデルではセル長を波長程度に設定でき、導体表面にのみ配置すれば良いことから、FDTD法と比較して極めて少ない素子数と計算時間で実行できることが確認できた。 提案手法が解析的に電界を導出できることを利用して、2セルのみからなる屈曲導体を考えることにより、反射と透過のメカニズムを考察した。その結果、反射と透過のようにみえる現象は、空間を伝搬した電界による屈曲後の導体への誘導が反射と透過に見えていることが明らかになった。これは、反射と透過に対する新しい見方を提供する意味で意義があると考えられる。
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