2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの利己的な振る舞いに対してロバストな大規模分散システムの実現
Project/Area Number |
20700061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (10379109)
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Keywords | 分散システム / ロバスト性 / 進化ゲーム理論 / ネットワーク / 情報通信工学 |
Research Abstract |
本年度は, 大規模分散システムの例としてPeer-to-Peer(P2P)型ファイル共有システムを対象に, 個々のユーザの利己的な振る舞いとシステム全体の性能との関係を調査した. P2P型ファイル共有システムでは, 他のユーザと協力的にファイルを共有し合うことで, 各ユーザはファイルを利用できるという利益を得られる反面, ファイルの共有には処理負荷, ストレージ容量といったコストがかかる. したがって, 各ユーザは潜在的にファイル共有に対して非協力的となりやすい. そこで, このファイル共有に対する駆け引きをゲームとしてモデル化した. さらに, ユーザのファイル共有に対する協力の度合いは, ユーザの置かれている環境(計算機性能・アクセスリンクの回線容量など)や当該ファイルに対するユーザの嗜好などにより多岐に渡ると考えられることから, こうしたユーザの多様性を非協力的なユーザが多数を占めるという仮定の下, Zipf則によりモデル化した. 以上の個々のユーザレベルでのモデル化に対し, 進化ゲーム理論を適用することでシステム全体としての挙動を動学的に解析した. その結果ユーザの多様性が増すことで, ファイル可用性は低下するものの0とはならず, またシステムの安定性の観点で有利に働くことがわかった.
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