2009 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの利己的な振る舞いに対してロバストな大規模分散システムの実現
Project/Area Number |
20700061
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹部 昌弘 Osaka University, 工学研究科, 助教 (10379109)
|
Keywords | 分散システム / ロバスト性 / 進化ゲーム理論 / ネットワーク / 情報通信工学 |
Research Abstract |
大規模分散システムの例としてPeer-to-Peer (P2P)型ファイル共有システムを対象に,個々のユーザの利己的な振る舞いとシステム全体の性能との関係を調査した.まず,ユーザは自身にかかるコストをできる限り抑えるために,周囲からファイルが消失しそうな場合に限りファイルを共有するという状況を想定し,これをゲーム理論の枠組みでモデル化した.今年度は,より現実的な状況下での評価を目標とし,システムの非同期性や影響力の高いノードの性質がシステム性能に与える影響に着目し評価を行った.非同期性に関しては,各ユーザが独自のタイミングでファイル共有に対する意思決定を行った場合,すべてのノードが同期して動作を決定する場合に比べてシステムの安定性が向上することがわかった. 一方,実ネットワークに近いとされるスケールフリーネットワークでは,他のノードと多くの隣接関係を持つハブノードと呼ばれるノードがシステムに与える影響が大きいことが知られている.本研究においては,前述のゲームの構造上,ハブノードが協力的(非協力)であるとその隣接ノードは非協力的(協力的)となり,システム全体としてのファイル数は少なく(多く)傾向がある.ただし,いずれのケースにおいてもシステムからファイルが消失することがないことを示した. 以上のことから,ユーザの利己的な振る舞いに対してロバストな大規模分散システムの実現が可能であることを示した.
|
Research Products
(4 results)