Research Abstract |
本研究課題は, 情報推薦システムにおいて, ユーザの推薦機構への関与とユーザの満足度との関係について, 被験者実験により調査することにある. また, その調査結果を基に, 新たな推薦システムを提案することにある. 本年度は, これまで研究代表者が開発したシステムについてユーザの満足度に関する調査を行った. 研究代表者は, 以前から発見性を考慮した情報推薦方式を提案してきているが, これによる推薦結果がユーザの満足度にどのような影響を与えるのかについて調査を行った. また, ユーザプロファイルの編集機能を伴った推薦システムの研究も行ってきているが, これについても編集作業とそれによる推薦結果と満足度との関係について調査を行った. 特に, 満足度の調査を, (i)アイテムの購入, (ii)その場での視聴, (iii)新たなコンテンツの発見, の3つの目的の観点から調査を行った. その結果, 発見性を伴った推薦(ユーザの知らないアイテムも含まれる推薦)は, (i)と(iii)に対して優位に働くことが分かった. また, もう少し基本的なインタラクションにおいて, 推薦結果と推薦の満足度がどのような関係にあるかを調査する実験について, その実験方法を検討した. 具体的には, 音楽好きのユーザに対して, いくつかの関与レベルを伴った推薦システムを用いて, 推薦サービスを受けてもらう. ここで, 推薦方式には最もよく用いられているベイズ推定のアルゴリズムを用いる. ユーザには, アイテムにratingさせる作業を行うグループと, さらにアイテムのコンテンツ属性やユーザのコンテキスト属性などを選択式で入力させるグループと, ユーザプロファイルそのものを編集させるグループ(コンテンツ・コンテキスト属性の確率値の修正)に分け, それぞれで推薦サービスを受け始めた直後, 1週間ほど使った後, 1ヶ月ほど使った後に, ユーザの満足度について調べる. この実験は平成21年度に実施予定である.
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