Research Abstract |
本研究課題は,情報推薦システムにおいて,ユーザの推薦機構への関与とユーザの満足度との関係について,被験者実験により調査することにある.また,調査結果を基に,新たな推薦システムを提案することにある.本年度は,ユーザ関与の度合いの異なるいくつかのユーザ関与を,実験での比較に用いるために定義した.一つ目は,関与なし(Rating)である.これは,これまでの推薦システムと同様にアイテムに対して嗜好に関する評価値を付ける.二つ目は,コンテキスト入力である.これは,Ratingに加えて,ユーザの現在の状況を「いつ」「どこで」「誰と」という形式で入力する.三つ目はコンテンツ属性指定で,コンテンツの属性を直接入力し,推薦してもらうアイテムの絞込みを行う.四つ目は,プロファイル編集で,ユーザに学習したプロファイル(嗜好に関するモデル)を提示し,ユーザは間違っているところや,自分の今の好みに合わせて編集する.これは,上に挙げた順番で,関与の度合いが高くなっている。上記の関与が実現できるアルゴリズムとして,ベイズ推定を採用し,推薦機構を設計した.さらに実験環境を構築するため,JavaとFlashを用いて,サーバ・クライアント方式でシステムを実装した. さらに実験方法について設計した.ユーザの満足度は,ユーザの推薦アイテムへの思い入れの強さや,アイテムを探すユーザの目的により大きく異なると考えた.そこで,ユーザの目的を,アイテムの購入,その場での視聴新たなコンテンツの発見に分け,この目的ごとに満足度を尋ねることとした.本実験ではアイテムには音楽を対象とするが,ユーザのアイテムに対する興味の度合いに応じてユーザ群を分けることにする.さらに,満足度には推薦精度が強く影響すると思われるため,実験結果を推薦精度によって3段階に分けることにした被験者実験を開始し,50名ほどの結果を得た.次年度は,さらに被験者数を増やし,この結果を分析することとする.
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