Research Abstract |
本研究課題は,情報推薦システムにおいて,ユーザの推薦機構への関与とユーザの満足度との関係について,被験者実験により調査することにある.また,調査結果を基に,新たな推薦システムを提案することにある. 本年度は,昨年度に設計した実験方法に従い,ユーザ関与とユーザ満足度に関する実験を行った.実験の結果,対象ドメインに興味のあるユーザについては,関与の度合いが大きくなるほど,ユーザ満足度が高くなることが分かった.ただし,情報推薦の精度の影響が大きかったため,精度がほぼ同一の条件で,上記の調査を行った.この結果から,推薦精度を維持しつつ,ユーザが推薦機構に関与できるようなシステムであれば,ユーザ満足度の高いサービスが提供できるものと思われる. また,本年度は,ユーザ満足度の高い情報推薦の新たな試みとして,Twitterなどの実世界でリアルタイムに発生するメッセージから,実世界の状況把握を行うシステムの構築を行った.このシステムは,発生したメッセージをあらかじめ定義しておいたカテゴリに分類する自動分類の機能,上記推定したカテゴリと空間情報から似たメッセージを一つにまとめるクラスタリング機能,急激に起こりつつある事象を発見するバースト検出機能を備えている.これらの機能によって発見された情報をGoogle Maps上に重畳表示している.万博記念公園にて取得した実験データを用いて被験者実験を行い,ある日に万博記念公園で起きているイベントや状況を把握する課題を行ってもらった。その結果,これらの機能を備えた場合の方が,備えない場合に比べて,状況把握が効率よく行えることが確認できた.
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