Research Abstract |
本年度は,Delaunay分割によって得られた曲面に陰関数の性質を付加する研究に従事した.結果として,当初の計画とは多少異なるものの,「高速な可視化が可能な陰関数」を生成するために,「可視化のための処理」と「陰関数生成」を完全に分離することで,ある程度は目的を達成できた.まず,陰関数f(x)を可視化する際に,通常はf(x)=0を探索して零等値面を描くが,f(x)=0の探索は計算量が大きいため,f(x)=0の代わりに「Delaunay分割によって得られた曲面」を用いることは,これまでの研究計画通りである.一方,当初の計画では,「Delaunay分割によって得られた曲面」を利用して陰関数の性質を付加していくことを考えていたが,最終的には,入力節点から物体表面の形状を特徴付けるような主要な節点を抽出し,それらの節点を用いて陰関数f(x)を簡易的に生成する方法を採用した.この場合,入力節点数よりもはるかに少ない節点から陰関数を生成するため,高速な陰関数生成が可能である.また,簡易的ではあるものの陰関数f(x)を従来通り生成するため,通常陰関数が持つべき性質は備えており,改めて陰関数の性質を付加する必要はないのである. 上述の研究に従事する中で,入力データとして節点情報のみが与えられたときに,3次元物体表面を推定する方法についても模索した.法線を精度良く推定出来れば物体表面の推定は容易になるため,昨年度に提案した節点情報のみからの法線推定法を改良した,改良法では,Delaunay分割と陰関数曲面法を何度か用いることによって,徐々に法線の精度を上げていく.改良法によって得られた法線を用いることで,期待された物体表面を推定出来る例が幾つか確認された. 研究成果は研究代表者らによって国際会議等で発表された.また,幾つかは雑誌論文として掲載が決まっている.
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