2008 Fiscal Year Annual Research Report
統語的方法論による文脈自由言語および弱文脈依存言語の正例からの効率的極限同定
Project/Area Number |
20700124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉仲 亮 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 博士研究員 (80466424)
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Keywords | 計算論的学習 / 文法推論 / 形式言語理論 |
Research Abstract |
Clark & Eyraud(2007)は、substitutabilityと呼ばれる性質を満たす文脈自由言語の部分クラスが多項式時間で正例から学習可能であることを、統語的アプローチによって示した。本研究は彼らの方法論を一般化し、統語的方法論と学習効率との間の一般的な関係を特徴づけることを目指している。 本研究では、平成20年度において、substitutabilityの概念を一般化し、各自然数k,1に対してk, 1-substitutabilityという制約を提唱し、この階層構造に対応する文脈自由言語の部分クラスは全て効率的に学習可能であることを証明した。この結果は、reversible言語が正規言語内で階層構造をなし、それぞれが効率的に正例から学習可能であるという古典的な結果の類似をなすものであり、substitutabilityという概念および統語的方法論の発展性と将来性を例証するものである。なお、この証明において重要な、グライバッハ標準形の拡張に関する補題の簡潔な証明は、文法推論の結果とは独立に、形式言語理論上も興味深いものであり、独立に発表されている。 また、正例からの極限同定における効率的な学習の定義は学会においても定説はなく、如上の研究を進める前提として、異なる可能な定義の妥当性や関係性について整理する必要があった。そこで、正例からの極限同定に関する一般的な議論を試みるとともに、その議論をvery simple languagesと関連言語クラスの学習に適応して学習効率の議論を深化させた。
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