2009 Fiscal Year Annual Research Report
学習コンテンツ設計の理論と実践の知識循環を指向した実践的知識リポジトリの構築
Project/Area Number |
20700137
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 雄介 Osaka University, 産業科学研究所, 特任助教(常勤) (70362019)
|
Keywords | オントロジー / 知識工学 / ベストプラクティス / e-Learning / 標準化技術 |
Research Abstract |
本研究では,「教授知識」を共有・再利用できるようにすることを目指し,教育のベストプラクティスからの実践的知識の抽出と共有・再利用可能なレベルまでの抽象化を支援するシステムを構築することを目指した.ここでの「教授知識」とは,学習目標と対応づけた教授方法であり,このような教授知識は現在では様々な形式で記述されている.これを共通の基盤で記述できるようにすることが共有・再利用を容易にするために重要となる.本年度は,当初の予定を変更して,実践的な教授知識を扱う際の難しさの本質を理解し,それを反映したシステムを設計するために,実際の教師(中学教諭)を対象とした実験を行い,昨年度提案した教授知識の記述枠組みとツールの有用性と記述の難しさについて検討を行った.実験では,被験者が用意した授業案を本研究で開発したツールを利用し,被験者へのインタビューを通じてその設計意図を聞き出し,提案している記述枠組みの上でモデル化した.その結果,ツール利用の際の支援は必要であるが,提案する記述枠組みによって聞き出した設計意図を記述でき,被験者が暗黙的に設計していた部分もその意図を一部明示化することができ,枠組み自体の有用性については肯定的なコメントが得られた.このことは二つの意味を持ち,提案する枠組みが実際の授業案をモデル化できることを示すと共に,教師が暗黙的に考えていたことを振り返り,その意図をより明確にするために貢献する可能性があるということを示している.
|