2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド数理モデルによる高速・高精度な相互関係自動導出法に関する研究
Project/Area Number |
20700144
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 康司 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (30421225)
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Keywords | アルゴリズム / 数値最適化 / 生体生命情報学 / グリッド |
Research Abstract |
これまでの研究において、遺伝子ネットワークなどの相互関係を自動導出する際に一般的によく用いられている2つの数理モデル(質量作用則表記及びS-system表記の連立微分方程式)のそれぞれのメリットに着目し、ハイブリッド数理モデルによる新しい数値最適化手法を提案し、プロトタイプシステムを開発し、評価実験で提案手法の有効性を示した。しかし、有効性の検証に用いた時系列データは非常に単純な人工データ(次元数の少ない連立微分方程式)であったため、複雑な人工データ(次元数の多い連立微分方程式)及び実データを用いた遺伝子ネットワークなどの同定における提案手法の有効性を示せていない。また、大規模な時系列データを扱う際には、計算精度・効率及び計算時間が問題となる。本研究では、これまでに開発したプロトタイプシステムを高精度化・高効率化・高速化に重点を置いて改良・発展させ、大規模な時系列データを用いてハイブリッド数理モデルによる新しい数値最適化手法の有効性を示し、高速かつ高精度な相互関係自動導出法を確立することを目的としている。 本年度は、昨年度行った評価実験を基に最適化の精度・効率を向上させるためのパラメータチューニングを行い、再度評価実験を行った。用いるデータが1種のみでは最適化が成功せず、2~5種と増やしていくにつれて成功率が上がっていくという傾向は昨年度と変わらなかったが、2~5種の成功率が昨年度と比較して最大13%向上した。10次元の連立微分方程式を基にして人工データを作成し、5次元の場合と同様の評価実験を行ったところ、1~3種のデータではどの組み合わせを用いても最適化が成功しなかったが、4種以上では、5次元の場合と同様に用いるデータを増やすことで成功率が向上した。現在、最適化の精度・効率をさらに向上させるためのアルゴリズムの改良を検討するとともに実データでの評価実験の準備を進めている。
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