2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700172
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
松村 寿枝 Nara National College of Technology, 情報工学科, 講師 (70390482)
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Keywords | 音声分析 / 疲労 / システム構築 |
Research Abstract |
疲労検出システムの構築を目的とし, 疲労を起こさせる作業をVDT作業と限定したうえで, 研究に使用する音声データの収集を行った. 収集期間は, 約2ヶ月とし, 男性2名女性8名の健康な話者10名からVDT作業後3種類(「ただいま」, 「あーあ」, 「疲れた」)の音声をそれぞれ10〜12回ずつ収集した. 収集した音声データを話者自身の自己評価により疲労・非疲労に分類したところ収集音声中, 疲労音声は約71.8%, 非疲労音声は約28.2%であった. 自己評価によるが, より多くの疲労時の音声が収集できたといえ, VDT作業は疲労時の音声収集に適しているといえる. 次に得られた音声データ全てに対し, 音声分析を行い, 基本周波数, パワー, 継続時間長を求め, 単語および話者別に疲労時と非疲労時の特徴量の変化を比較した. 結果, 次のことがわかった. 話者・単語別に平均し比較すると, 全体の約55.6%のデータで非疲労時に比べ疲労時は, 「基本周波数の低下」, 「パワーの低下」, 「継続時間が長くなる」という傾向が見られた. また, 3種類の単語の中で基本周波数およびパワーが低下する傾向が高かったのは有声音を多く含む単語であり, このことは疲労検出システムにおいて分析対象とする単語は有声音が多く含まれるものが望ましいことを示している. 以上の結果より, 3種類の特徴量の変化を求めることでシステム構築は可能である. しかし, 今回非疲労時の音声データがほとんど得られず, 比較・検討に使用できなかった話者もあったため, 今後は収集方法の検討及び音声データの追加収集, システム構築時の仕様決定, システムの評価方法の検討を行う予定である.
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