Research Abstract |
本研究の目的は,単一の対象内におけるイメージの連続や不連続,その強弱といった情報を色彩やその濃淡によって表現する,新しいイメージ構造の可視化手法を確立すること,そしてその可能性を検証することである.本年度は,昨年度までの研究において提案したイメージ構造可視化手法の応用として「通りのイメージが見える京都の感性街歩きマップ」の構築を行ない,その効果を検証した. まず,京都市内475地点の街並みイメージを10対の感性ワードを用いたSD法により評価し,評価結果に色彩を対応付けることで,京都の街並みイメージの強弱やその分布の可視化を行なった.この可視化結果をもとに,テーブルトップ状のインタフェースを用いた事前旅行計画用,タブレットPCを用いた街歩き中の可視化情報確認用の2種類の感性街歩きマップを構築した.感性街歩きマップには,ユーザの街歩きを補助する機能として,基本的な地図ナビゲーション,可視化情報の切り替え,街並み写真の表示,マップ上へのメモ,の各機能を実装した. 感性街歩きマップの構築後,街歩きマップがユーザの街歩きにどのような効果を与えるかを検証するため,複数の被験者グループを対象とした街歩き実験を行った.その結果,街歩きマップでイメージ可視化情報を提示することは,可視化情報を提示しない場合に比べ,被験者の街歩きにおける行動範囲やそのバリエーションの拡大に効果があることが示された.また,イメージ可視化情報の提示は,現地での街歩き中にくらべ,取得できる情報に制限があり街並みのイメージ形成が難しい事前旅行計画時において特に有効であることも確認された.感性街歩きマップとイメージ可視化情報の提供は観光地などにおける観光客の流動性を高めることにつながり,地域の活性化にも大きく貢献するものと考えられる.
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