Research Abstract |
本研究では,ロボットと人間のより豊かなコミュニケーションを実現するための要素技術を研究し,感性情報処理に基づいた擬人化ロボットの新しい制御手法として,感情認識および感情表現の工学的制御手法を提案することを目的としている。そこで平成23年度では,22年度までの研究で得られた研究成果を基にして,以下の感情認識部と感情遷移部の機能拡張および高度化した. 感情認識エンジンの高度化:人間の音声や顔表情による感情表出は複数の要素から組合されていると考えられる.例えば,同じ「喜び」として認識される音声についても,発話者によっては異なる韻律特徴を持つことが確認されている.顔表情も同様である.これらのことが,不特定話者に対する感情認識が困難になる要因となっている.本計画では,重要度重付きなどの転移学習の概念と感情クラスの細分化の技術を融合することにより,個人差の影響を受けにくい感情認識アルゴリズムを提案した. インタラクションによる感情遷移の性格付け:ロボットが対人のインタラクションに応じて独自の個性を獲得することは,人間のロボットに対する感情移入度を向上させると考えられる.本計画では,個性を決定付ける要因として「性格」に着目し,サイモンズの養育態度尺度と対人感情の心理モデルを基に,ユーザの行動選択傾向からロボットの性格付けを行う手法を提案した. 人間とロボットのインタラクションの枠組み提案:本研究で開発した機能を有するロボットと人間の望ましいインタラクション枠組みを模索した. これらの研究結果は,研究代表者らが参画している産学共同プロジェクトにおいて過去に共同開発された感性会話型ロボットifbot,ならびに小型ヒューマンフォームロボットKHR-2HV上に試作実装され,その効果が検証されている.また,これらの研究成果はXX編の雑誌論文とY編の国際会議論文(いずれも審査有),ならびに,ZZ編の国内学会発表論文(内,審査ありAA編,招待講演BB件),CC編の図書,および,1件の特許出願として発表されている。
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