2008 Fiscal Year Annual Research Report
情動系(感性系)賦活とリハビリテーション効果の基礎的研究
Project/Area Number |
20700200
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
川野 道宏 Ibaraki Prefectural University of Health Science, 保健医療学部, 助教 (00404905)
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Keywords | 報酬系 / リハビリテーション / 運動学習 / fMRI / NIRS / 情動 |
Research Abstract |
情動操作による報酬系賦活がリハビリテーション(運動学習)効果に与える影響を検討するため、本年度は実験に最適な運動学習課題の設定を目的とした実験的検証を行った。最適な運動課題として、1)先行研究によりリハビリテーション効果が検討され本研究に応用できる、2)比較的短期間で効果が得られる、3)fMRIとNIRS双方で検証するため同じ動作でできるものを仮定し検討した。具体的方法として、健常な被験者を対象に、非利き腕の第5指を用いた細かい作業(小さな粒を小さな穴から取り出す)を仰向けの状態で行う課題を設定した。1日1時間(午前午後30分ずつ)で10日間課題を遂行し、特定数の粒を取り出すスピード、エラー率、指の動きの変化および課題遂行期間前後の脳血流動態の変化を解析した。実験の結果、時系列の変化に伴うスピードの上昇、エラー率の低下が認められた。さらに指の動きの変化の解析では、第5指の腹と手掌を合わせるスピードの上昇が示され、このことが粒をうまく保持しエラー率を低下させる要因の1つであることが示唆された。fMR Iによる脳血流動態の解析により、課題開始前に見られた広範囲な脳領域における賦活が、訓練後には対側の運動野を含めたより限局的部位での賦活に収束することが示唆された。以上の結果は運動学習効果に関する先行研究を支持するものであり、これにより本研究の運動課題として妥当であると判断された。次年度は、各パラメータの変化率を時系列で確認し、最適な期間を設定するとともに、快・不快刺激を課題に付加した場合のパラメータの変化を観察することで報酬系賦活がリハビリテーション効果に与える影響を検討する。さらに、fMRIとNIRS双方により脳血流動態を検証し、座位等のより臨床に近い形での実験に向けた基礎データの収集を行う。
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