2010 Fiscal Year Annual Research Report
顔認知における高次印象の感受特性および機能特性の実験計量心理学的解明
Project/Area Number |
20700204
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
伊師 華江 仙台高等専門学校, 建築デザイン学科, 准教授 (10435406)
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Keywords | 顔画像 / 感情意味空間 / 静止画・動画 / モーフィング / 魅力 |
Research Abstract |
真顔認知における表情変化文脈の影響について実験的に検討した。まず、表情顔(幸福、悲しみ、怒り、恐れ、驚き、嫌悪)および真顔の個人の静止画像に対してAffectGridによる評定実験を行い、覚醒度および快・不快次元で構成される感情意味空間に各刺激を位置づけた。それらの布置関係を検討した結果、快・不快次元で、恐れ、悲しみ、嫌悪、怒りは不快方向に、幸福は快方向に偏って布置した。覚醒次元では、悲しみを除く表情顔で高覚醒度であった。次に、表情戻り過程の動画像に対して同様の評定実験を行い最終呈示される真顔の布置を検討した結果、快・不快次元で、幸福表情を文脈とする真顔はやや不快、嫌悪および怒り表情を文脈とする真顔はやや快方向に布置した。覚醒度次元では、嫌悪および悲しみ表情を文脈とする真顔が比較的高覚醒度であった。すなわち、表情戻り過程で最終呈示される真顔は感情意味空間において特に快・不快次元で文脈表情の逆極性に対応して布置していた。この結果は、真顔認知における表情変化文脈の影響が主に快・不快次元で見られることを示している。 また、表情顔の魅力に関して研究代表者が以前収集した評定実験データを再分析し、魅力と印象の関係を重回帰分析によって改めて検討した。表情顔(幸福、悲しみ)および真顔の魅力に関わる印象要因を分析した結果、真顔と悲しみ表情顔の魅力には知的美感の印象が重要であるのに対して、幸福表情顔の魅力評価には知的美感に加えて柔和の印象も重視されることが示され、顔の不変的な構造にもとづく魅力評価と表情が生み出す魅力評価の共通点および相違点が明らかにされた。近年、表情や視線など顔の動的・可変的要素が生み出す魅力に関しても脳科学的な検討が進められているが、本研究の成果は、単一尺度で測定される魅力度だけでなく関連する印象要因と対応付けて顔の魅力認知の脳内基盤を考察する重要性を示すものであると考えられる。
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