2008 Fiscal Year Annual Research Report
結合非線形力学系モデルを用いた最適化手法の解析とその体系化
Project/Area Number |
20700206
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡本 卓 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (40451752)
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Keywords | 大域的最適化 / カオス / 結合系 / 同調現象 / 制約条件付き最適化 / 同時摂動勾配近似 |
Research Abstract |
本研究では, カオスカ学系などのいわゆる非線形力学系モデルで動作する複数の探索点の結合モデルによって最適化を行う「結合非線形力学系最適化モデル」の理論的解析と, これを利用した最適化手法の体系化を目的とした研究を実施している。本年度は, (1)Lagrange関数と結合非線形力学系最適化モデルを用いた制約条件付き最適化手法の提案と, (2)同時摂動法を用いた新しい非線形力学系最適化モデルの提案を行い, 3件の学会発表を行った。(1)では, Lagrange関数を用いた勾配力学系最適化モデルの収束性の問題点を, 線形安定性理論の軌道安定性の観点から説明した上で, この問題点を結合構造の導入によって改善した最適化モデルを提案した。そして, 複数のベンチマーク問題への適用実験から, 提案手法が, 制約条件付き最適化問題に有効な手法であることを確認した。この成果は, 結合非線形力学系最適化モデルの理論的理解をより深めるともに, これまで, 無制約最適化問題のみに適用されてきた結合非線形力学系最適化モデルの適用範囲を, 制約条件付き問題へ拡張した意味において, この種の最適化手法の体系化に大きく寄与するものと考えられる。また, (2)では, 勾配を2回の目的関数呼び出しで近似する同時摂動法を非線形力学系最適化モデルに導入した手法を提案した。そして, 複数のベンチマーク問題への適用実験から, 提案手法が, 厳密勾配を用いる従来手法と同等の最適化性能を有することを確認した。この成果は, これまで, 「目的関数の勾配が計算可能」な問題に限定されていた結合非線形力学系最適化モデルの適用範囲を, 「目的関数を計算可能」な問題へ拡張した意味において, この種の最適化手法の体系化に大きく寄与するとものと考えられる。
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Research Products
(3 results)