2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク構造の推定を基盤とした複雑システムの理解とその応用
Project/Area Number |
20700217
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 智也 Ibaraki University, 工学部, 准教授 (70408649)
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Keywords | 複雑系 / 複雑ネットワーク / カオス / 経済物理学 |
Research Abstract |
経済市場の取引価格など不等時間間隔で変動しているシステムは,実世界において数多く存在する.しかし従来の経済分析においては,分次や日次データといった等時間間隔で観測されたデータを解析対象とする場合が多い.これは物理時間を基準にして解析するためであり,また観測データ数を削減し少数データでも長期の性質を分析できるという利点もある.しかし,システム本来の特徴が破壊される危険性が生じる.サンプリングの時間間隔を大きくすれば観測漏れが生じ,小さくすれば重複して観測してしまう.本研究では,カオス的な数理モデルや実際の為替取引価格データに対して,非線形性を分析するサロゲートデータ法を適用し,サンプリングの時間間隔の変化によって,どのように非線形性が欠落するのかを分析した. なお,サンプリング後に欠落したデータを補うのは容易ではないが,重複データは単に削除することで改善できる可能性がある.そこでこの有用性を調査すべく,リカレンスプロットを用いた定性的分析を行った. このような検証を通じて,以下の知見を得ている. ・データ期間を長くするためにサンプリング間隔を大きくしても効果は無い. ・重複データの削除は非常に効果的である. ・データ長を増やせば,欠損に対する頑健性を増強できる. ・等時間間隔サンプリングはデータの特徴を破壊するので,ティックデータを解析するのが最適である.
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