2008 Fiscal Year Annual Research Report
XMLによる初期刊本の本文記述の方法論の確立と印刷史研究への応用
Project/Area Number |
20700225
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安形 麻理 Keio University, 文学部, 助教 (70433729)
|
Keywords | 書誌学 / グーテンベルク聖書 |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は、書誌学的な研究に有用であるようなXMLによる初期刊本の本文の記述(トランスクリプション)の方法論を確立することである。特定の作品の校訂版の作成ではなく、書物の印刷工程の解明に役立つような記述を行うための方法論を確立することを目指している。そのために(1)書誌学的な研究に有益な初期刊本のXMLによる本文記述の方法論の確立、(2)グーテンベルク聖書の本文記述、(3)その本文記述を用いたグーテンベルク聖書の印刷工程の解明に向けた研究、という三つの具体的な課題を設定した。 初年度である本年度前半には、課題(1)に焦点を当てた調査を開始し、初期刊本を対象とした場合の記述に必要となるタグの整理と検討を二つの方向から行うこととした。一つは書誌学研究で着目されてきた項目をもとに必要なタグを整理するという方向であり、グーテンベルク聖書についての先行研究を調査し、異字体や様々な短縮語、印刷上の誤りや修正などによる現存諸本間の違いを効果的に記述するためのタグの整理検討を進めている。同時に、もう一つの方向としてXMLについてのTEI(Text Encoding Initiative)のガイドラインを基本的な枠組みとしたうえで、先行事例を参考に、どのようなタグをどのように付与すべきかについて具体的な検討を開始した。研究再開後には、タグの検討を進め、試験的にグーテンベルク聖書の部分的な本文記述にとりかかることができる見込みである。
|