2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域SNSの活用による地域活性化についての、研究枠組みの構築
Project/Area Number |
20700230
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
庄司 昌彦 International University of Japan, グローバル・コミュニケーション・センター, 講師 (50399771)
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Keywords | 地域情報化 / 社会関係資本 / ガバナンス / 社会ネットワーク / 地域メディア |
Research Abstract |
地域SNS(Social Networking Service)型のネットコミュニティで見られる多主体の連携による地域社会運営のあり方について、国内外のソーシャルキャピタル論、ガバナンス論、ネットワーク科学等の文献を中心に先行研究を参照し、その延長上に現状を位置付け整理した。特に、地域SNSの多くは、多様な市民活動を活性化する目的で使われており、それはパットナムの議論と合致していることが明らかになった。 地域SNSで行われている多様な取り組みとその効果との因果関係について、事例分析や理論的検討に基づき分析しモデル化した。特に、ソーシャルキャピタル論の橋渡し型・結束型の概念が、各地の実例を説明する概念として説得的である、という昨年度の仮説を補強することができた。コミュニケーションの「タコ壺化」「立ち枯れ」が生じる問題に対しては、他メディアの活用など、SNSに参加していない人々まで含めた情報流通のデザインが必要であることも明らかになった。 地域SNSの活動を評価するための指標については、地域社会の実情や多様な設置目的を踏まえるため、「地域SNSの現状を把握する」ために用いる基礎的な利用データや凝集性、平均経路長、ネットワーク構造などの指標と、それぞれの「設置目的に応じた指標」に分けることが有効である。 本研究の成果を実際の地域SNS運営の目安として活用してもらうため、(1)ウェブサイトや(2)本テーマに関心を持つ研究者やSNS運営者約100名からなるSNS、および(3)年2回の「地域SNS全国フォーラム」や学会研究会等のイベント機会を通じて積極的に公開・発信した。 なお、本研究で収集した地域SNSに関する基礎的なデータや、事例調査に基づいて整理した類型は、さまざまな論文や報告書等で引用された。また2009年度には本研究に基づく共同研究を総務省と行った。この成果は2010年版「情報通信白書」に掲載される予定である。
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