2011 Fiscal Year Annual Research Report
特許における「発明者」情報を基にした大学の知的貢献活動の実態の解明
Project/Area Number |
20700233
|
Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
金間 大介 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (80435742)
|
Keywords | 知的財産 / 産学連携 / 科学技術政策 / 技術経営 / イノベーション |
Research Abstract |
本研究は、近年激しく変化する大学発特許の実態を解明することを目的として、筑波、広島、東北の3大学をモデルとして、これらの大学の研究者を「発明者」に持つ特許を全て把握・分析した。結果として、1998年から2000年頃にかけて、大学発特許は顕著な増加傾向に転じていることがわかった。これは、大学等技術移転促進法等の知財関連施策の施行や産学連携活動が活発化した時期と一致しており、大学発特許の増加は経済社会的な要因と政策的な要因が複合的に働いた結果と考えられる。また、2004年の国立大学法人化を境に、企業の単独出願特許は大幅に減少し、変って大学の単独出願特許が急増していた。このように国立大学法人化は大学が関連する特許の帰属先を劇的に変化させた。また、当初は計画していなかった「早期審査制度」を利用した特許に注目し、その活用実態と産学連携との関連性を調べることができた。大学等が早期審査の申請を行う特許は、当該機関にとって何らかの重要性が認識された特許である可能性が高いといえる。したがってこれら早期審査特許を調べることは、大学関連特許の技術移転から実用化までのプロセスを理解する有効な手段となる。そこで、大学等の早期審査特許の活用実態や技術移転状況について、詳細な調査を行った。その結果、早期審査特許は、特許登録率・単独出願率・外国出願率・閲覧請求率において、通常の出願よりも高い値を示した。一方、他機関との共同出願関係がなくとも、大学等の判断で多くの早期審査請求が行なわれていることがわかった。このように、早期審査特許は大学等にとって重要性の高い特許であることが確認できた。
|