2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 泰城 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (60374170)
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Keywords | ホルモン / 神経経済学 / 意思決定 / 心理物理 / 脳 / 社会物理学 / 時間割引 / リスク |
Research Abstract |
意思決定の神経化学的基盤を研究するため、行動経済学における数理モデルを用い、以下に示す研究を行った。 (1)中脳ドーパミン神経系における神経伝達物質受容体の生物物理学的性質に基づいて、報酬の価値評価がおこなわれるとの神経行動経済学的モデルにおける危険態度を解析計算し、富の水準によって危険態度が影響されること、とくに資源枯渇状況で危険愛好性が生じうる(ドーパミン受容体の活性化と神経細胞反応の間に非線形性がある場合)ことを示した。(2)生命の危険があるような水分枯渇状況を想定したことによる唾液中アミラーゼ上昇により、水の時間割引率が上昇する(水に対する意思決定が衝動的になる)ことを見出した。(3)抑うつ患者における時間割引が、健常者よりもより衝動的で、時間非整合性も大きいことを、報酬、損失双方の異時点間選択において見出した。その際に、新しく提案された異時点間選択行動のモデルであるq指数割引モデルを用い、衝動性と時間的非整合性とを別々にパラメータ化するという分析方法を用いた。(4)時間割引行動と時間知覚との関連を心理物理学的モデルを用いることによって調べ、Weber-Fechner則に従う時間知覚によって時間割引行動がもっともよく説明されることを行動実験により見出した。(5)時間割引の神経経済学的研究に有用な新しい数理行動モデルを提案し、そのレヴューを行った。(6)時間非整合性をよく表せるq指数割引モデルと行動経済学で用いられる準双曲割引モデルの比較を行った。
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Research Products
(3 results)