2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 泰城 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (60374170)
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Keywords | 神経経済学 / 意思決定 / 時間知覚 / 衝動性 / ストレス / 薬物依存 / 精神医学 / 社会的感情 |
Research Abstract |
不確実性下の意思決定の神経心理的基盤を調べるため、Ellsbergの壷課題を利得・損失の両方において、複数の金額において行った。その結果、確率不明の不確実性(ambiguity)における意思決定は、結果の符号により、主観確率の加法性が影響を受けることが分かった。また、確率が既知の不確実性下の意思決定モデルに、Tsallis' entropyを用いた一般化自由エネルギーを導入し、定式化をおこなった。社会的意思決定における感情の役割を調べるために、最後通牒ゲーム(ultimatum game)をおこなっているときの唾液中アミラーゼの変化(ノルアドレナリン系の活動の指標)を測定し、また一方的最後通牒ゲーム(impunity game)をおこなっているときの脳活動をfMKIをもちいて測定した。その結果、最後通牒ゲームの拒否行動とアミラーゼ上昇、また一方的最後通牒ゲームでの拒否行動と島皮質の活動との関連が見られた。これらの結果は、ゲーム理論的状況における社会的意思決定に、嫌悪などの感情やノルアドレナリン系の反応が大きな役割を果たしていることを示唆する。さらに、異時点間選択(intertemporal choice)と飲酒習慣の関連をしらべると、損失の時間割引と飲酒頻度が関連することが見出され、先延ばし傾向が飲酒の頻度を上昇させることが示唆された。また、認知傾向の文化差(とくに時間知覚に関するもの)が、時間割引に影響することが見出され、東洋と西洋の文化差が経済行動に反映することが示唆された。以上の結果やこれまでの神経経済学的研究(主にintertemporal choiceに関するもの)をヨーロッパ神経心理経済学会の依頼をうけて、APAジャーナルのJournal of Neuroscience, Psychology, and Economicsでレビューした。
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Research Products
(4 results)