2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 泰城 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (60374170)
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Keywords | 神経経済学 / 意思決定 / 時間知覚 / 衝動性 / ストレス / 薬物依存 / 精神医学 / 社会的感情 |
Research Abstract |
神経ホルモンが時間割引に与える影響に関して、ストレスホルモンであるコルチゾール・コルチゾン・唾液アミラーゼが、半年後の衝動的意思決定を予測することがわかった。また、この関係には性差があった。HPA (hypothalamic-pituitary-adrenal axis)の活性化は男性では衝動性の低下と関連したが、女性では反対の関連があった。また、男女ともに、唾液中アミラーゼが高い被験者のほうが、半年後の時間割引率が低かった。このことは、ノルアドレナリン系の活性が衝動性を抑制している可能性を示唆する。 性格特性に関しては、big-five性格特性がノルアドレナリン系の活性と関係することが、唾液中アミラーゼの測定で発見された。たとえば、Neuroticism得点が高いほど、唾液中アミラーゼ濃度が高かった。 ホルモンと社会的認知に関しては、男性ホルモンのテストステロンと自閉症傾向の関係も特定された。また、一般化した社会割引関数を、Tsallis非加法的統計力学で発展したq-指数関数を用いて構築した。さらに、薬物依存・肥満の分子神経経済学モデルの構築を行った。薬物依存のモデルとしては従来は時間割引率にのみ注意が集まっていたのに対し、薬物依存の経済学モデルのパラメータである"consumption capital"が、ドーパミン神経のシナプスの重み付けを、NMDA受容体をコントロールすることにより決定するという仮説の上に、神経経済学と理論神経科学の橋渡しを行うモデルの構築に成功した。また、肥満の経済理論のパラメータである時間割引率や報酬のsaliencyが、肥満関連分子であるアディポネクチンなどの制御下にあることを予測するモデルの構築に成功した。これらのモデルは、将来の神経経済学研究への応用が期待される。
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Research Products
(3 results)