2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700236
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 泰城 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (60374170)
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Keywords | 神経経済学 / リスク / 時間知覚 / 衝動性 / 時間割引 / 双曲割引 / プロスペクト理論 / 薬物依存 |
Research Abstract |
経済学的意思決定・社会的選好の神経内分泌学的・神経化学的基盤を研究するため、昨年度に引き続き以下の実験・調査をおこなった。(1)不確実性が存在するリスク状況での経済学的意思決定に、ノルアドレナリン系の活動がどう影響するか、理論モデルによる分析を行った。(2)将来の報酬、例えばお金、食物や(経済学でいうところの)中毒財(依存性薬物)の価値を現在の報酬の価値に比べて割り引いて見積もる経済学的意思決定(時間割引)を制御する意思決定プロセスを理論的に分析した、(3)社会的選好を測定する行動課題として、社会割引課題を用い、これまで神経経済学・経済物理学分野で提案されたモデルの比較を行った。(4)不確実性下の意思決定を心理物理学的にモデル化し、確率ウェイト関数の生物心理学的基盤を解明した。(5)時間知覚と時間割引の関係、および薬物依存との関連を数理的に分析した。 被験者はおもに北海道大学の学生とし、心理行動実験データ収集とともに、ホルモン測定をおこない、経済学的意思決定・性格特性とホルモンの関連を分析した。また、いくつかの経済学的意思決定課題(時間・確率・社会割引課題など)を並行しておこない、経済学的意思決定間の連関も分析した。 以上の研究より、人間行動を規定する要因である欲求と信念のうち、従来から経済学理論において、効用関数として数理モデル化が進んでいた欲求だけではなく、信念に関しても、心理物理学や神経科学の知見に基づいた数理モデル化をするということが達成できた。
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Research Products
(4 results)