2009 Fiscal Year Annual Research Report
注意・遂行機能に生じる加齢変化とそのメタ認知に関する認知神経心理学的検討
Project/Area Number |
20700238
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
石松 一真 National Institute of Occupational Safety and Health, Japan, 人間工学・リスク管理研究グループ, 研究員 (30399505)
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Keywords | 加齢 / 認知機能 / メタ認知 / 展望記憶 / 時間知覚 / 個人差 / 自己認識 / 神経心理検査 |
Research Abstract |
本研究は、注意・遂行機能とそのメタ認知に生じる加齢の影響について検討することを目的とし、1.注意・遂行機能とそのメタ認知に生じる加齢変化についての横断的検討、2.メタ認知の訓練効果についての検討、から構成されている。 本年度は、まず「メタ認知の訓練効果についての検討」として、昨年度から使用している時間作成課題を用いて新たな実験を行った。時間知覚実験に参加経験のある20歳代を対象に、事前に学習した時間感覚が外乱(全身振動)を含む環境下でも維持されるか否かについて検討した。結果、外乱を含む環境下では課題成績に関する自信度は低下したものの、時間作成課題の成績自体には影響が認められなかった。 次に、「注意・遂行機能とそのメタ認知に生じる加齢変化についての横断的検討」の完成に向け、時間作成課題や展望記憶課題(石松他,2006)を用いて40歳代、50歳代、60歳代のデータ収集に取り組んだ。実際の課題成績(正答率)と課題終了後に参加者が行った課題成績に関する自己評価とを年齢群間で比較した。自己評価は40歳代が最も正確であり、20歳代、50歳代、60歳代ともに課題成績を過小評価していた。これらの結果から、展望記憶とそのメタ認知の加齢変化は逆U字型のパターンを示すことが明らかとなった。また、20歳代では全般的に課題成績を過小評価し、個人差が小さいものの、50歳代、60歳代と年代が上がるにつれ、課題成績を過大評価する参加者も増え、個人差が大きくなった。これらの成果は、注意と認知研究会第8回合宿研究会にて報告した。現在は、神経心理検査の結果を踏まえ、課題成績に関する自己評価に生じる個人差の背景要因についての検討を進めているところである。
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