2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700240
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井藤 寛志 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 研究員 (20464141)
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Keywords | 行為 / 模倣 / ミラーニューロン・システム / 近赤外分光法 / NIRS (near-infrared spectroscopy) |
Research Abstract |
研究の目的 本研究の目的は、ヒトが観察した新しい行為をどのように認知し模倣することが、行為の効果的な習得を促進するのかを解明する端緒として、まず、無意味な身体運動(四肢の時空間的変化)の複雑性を生じさせる物理的および心理的要因を特定し、それらの複雑性を操作することで、ヒトが無意味な身体運動を観察し模倣するための処理特性を明らかにすることであった。具体的には、物理的な複雑性を、運動変化に関与する関節の数に基づき数量化した。次に, ヒトのミラーニューロン・システムが観察対象を身体として認知し、四肢の無意味な時空問的変化を身体運動として統合することに関与するか否かを検討した。 方法 無意味な身体運動の物理的な複雑性に関する数量データを収集した。そして, 複雑性の数量を操作することによって新たに実験で使用する姿勢系列を作成可能にした。 本研究の課題は、姿勢の静止画像を用いた再認課題から構成された。 本課題遂行中における実験参加者の脳活動は、多チャンネルのNIRS装置(OMM-3000、島津製作所製)を用いて計測された。 結果 本研究の結果は, 観察対象(姿勢の静止画像)を身体として認識することが、観察対象を一連の身体運動として捉えることを促すことを示す。また, ヒトのミラーニューロン・システムを構成する左下前頭前野が, 模倣を前提としない, 姿勢の静止画像の観察において活性化することを確認した。これらのことは, 行為の計画に関与する脳の領域が, 継時的に呈示される姿勢の静止画像を一連の身体運動として捉えることにも関与することを示唆する。
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