2010 Fiscal Year Annual Research Report
外国語処理メカニズムの解明-統語処理を中心として―
Project/Area Number |
20700241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中森 誉之 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (10362568)
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Keywords | 言語処理 / 言語習得 / 言語技能 / 聴解と発話 / 読解と作文 / 統合技能 / 文字 / 音声 |
Research Abstract |
今年度は,過去2年間で研究した外国語処理理論を基盤として,リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの指導理論を構築した。さらに,音声と文字,語彙と文法の位置付けを明確化した上で統合技能指導に関する検討を加えた。 4技能の導入順序と技能別の指導順序に関する研究を,言語習得理論と言語処理理論を基盤としながら論拠を与えつつ展開した。ボトム・アップとトップ・ダウンのアプローチの役割と段階別の援用方法,母語の影響のとらえ方,確固とした理論的基礎に支えられた具体的な指導方法などを,多角的に考察しながら提案した。円滑に相手の発話を理解して瞬時に応答をする,速読即解とスムーズな文章表出を行うためのメカニズムを脳内に構築するための学習・指導理論として結実させた。 夏には,ロンドン大学大学院音声学研究科にて,様々な国籍の英語学習者と英語母語話者の音声標本を収集・分析し,音声・文字指導の理論的枠組みを実証的に検証した。外国語音声処理は,聴解と発話だけではなく,読解や作文を支える重要な能力であることを,実証的に確認した。文字処理の基盤としての音声処理プロセスを解明した。 こうした研究成果を,『学びのための英語指導理論』として集大成して,学術図書として出版した。また,『英語教育』2011年3月号 大修館書店 には,この文献の書評が掲載されている。参照されることを希望している。今後は,『学びのための英語学習理論』とあわせて,この3年間の研究で得られた様々な知見を,教育現場や広く社会へ,積極的に還元していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)